鑑賞記録〜映画(DVD)2008-02-26 Tue 21:51
「となり町戦争」
監督:渡辺謙作 出演:江口洋介/原田知世 他 原作:三崎亜記「となり町戦争」集英社刊/第17回小説すばる新人賞受賞作品 詳細↓ 角川映画HP「となり町戦争」 ・2008/02/24 ・DVD(レンタル) ある日かかってきた一本の電話をきっかけに「となり町同士の戦争」に主人公の男は巻き込まれていく。 いつの間に始まったのか。何のためなのか。姿の見えない「戦争」は現実味が薄く、なかなか実感できない。 しかし確かに「戦争」は行われており、戦死者は確実に増えていく。その現実を目の当たりにした主人公は衝撃を受け、そして愕然とする。 どうも、いけない。 すっきりしない。 胸の奥底にわだかまったしこりのようなものがしつっこくつっかえて最後まで取れないのだ。 不快感ではなく、嫌悪感でもなく、それは違和感に近いかもしれない。 これは「戦争」の本質を地方自治体の姿形を借りて少しシニカルに、ブラックユーモア的に表現したものだろうか。 あるいは、いまひとつ現実として認識しきれていない人の多いと思われる、世界中で未だなくならない「戦争」の現実とそれに対する日本の国としての関わり方の現状を、より身近な地方自治体のサイズにスケールダウンして揶揄している風刺劇なのだろうか。 となり町同士で本気で戦争。 比喩的表現ではなく、生命の危険を伴う実戦ありの、マジ戦争…どう考えてもあり得なさ過ぎる。 あまり説得力があるとは思えないそのテーマや現実にはあり得ないような設定の数々、エピソード、台詞や演出の積み重ねが、まるで悪い夢を見ているようでどことなく居心地の悪さを感じさせる。 そもそも、おそらく地方都市に隣接する立地という設定であろう「町」レベルで戦争していて、そこに暮らす人々がそのことにまったく気づかなかったり実感が湧かなかったり…そんなことが現実にあるのだろうか? 「目に見えない戦争」を表現するためか、実際作中では戦闘シーンらしい戦闘シーンは全くなく、緑豊かでのどかな田舎町の日常が(まるでそれを強調するかのように)描かれている。 その一方で「戦争」という「業務」のもとに主人公の周りでは様々な出来事が起こっていく。 まず現実にはありそうもないことがごく普通に、平然と、当たり前のように進行している。 …腑に落ちない。 いや、それらすらも制作者側にとってはまた狙いのひとつで全ては計算のうちなのだろうか。 しかしそれらの違和感をねじ伏せて思わず納得させられてしまうほどの「説得力」が感じられないのだ、この作品には。 また随所に見られるシリアスなのかコメディなのかいまいち微妙なタッチの細かい演出などがなんとなく空回りしているように見えて不安感のようなものがあおられる。 ブラックユーモア的なほんのり毒をはらんだシニカルな笑い? それなりに重いテーマを扱っているはずなのにこれはちょっと茶化しすぎではないか?と思ってしまう。 これって、本当はもっと静かに、しかし背筋も凍えるほど怖い類のものなんじゃないのか? こういうテーマをこういった軽めのタッチで描いて欲しくはないなぁ、と、思ってしまうのだ。 いや、その軽さすらも制作側の狙いで、作品の存在そのものが「警鐘」なのだろうか。 現代の日本人の「戦争」に対する認識なんて、所詮はこんなもの、といったような。 そして、主人公二人の間に芽生えていく感情の移り変わり。これがちょっと浮いていて物語の本筋とうまくかみ合っていないような気がするのだが、どうだろう。なんだか、テーマ的に派手な見せ場に乏しく地味で彩りの少ない内容を補うかのように隙間の部分を恋愛ドラマ的展開で埋めてうまくまとめてしまおう、的空気を感じてしまうのだ。 「彼女」が「彼」の差し伸べた手をとることで「とりあえずある意味ハッピーエンド」と小さな希望の芽を残したことで強引に物語のオチをうまく摩り替えてしまったような印象を受けた。 ああ、これで終わりなのかな?と思った矢先。 ラストシーンのアドバルーンに吊られた「宣戦布告」の文字に暗澹たる思いに陥る。 ああ、やっぱり「ここ」に戻ってくるのね。そりゃそうよね。これってそういう話だもんね。 安心したようながっかりしたような、ちょっと複雑な気持ちになった。 で、鑑賞終了15分経過時点での気分。…15分もフリーズしてたのかよ。 どうもちぐはぐ感が否めない。 消化しきれないものが胸の奥でぐるぐるしている。 全体的に中途半端な感じだ。 心の中にズバッと来ない…スッキリしない。 最後の最後まで救いの見出せない、見ていてちょっとキツい作品だった。 が、いずれまた違うコンディションの時にもう一度観て、確認してみたいことも多々あるので、そのときにはまた違った感想を抱くことになるのかもしれない。 あるいは、原作を読んだ上で改めて観ると、また違った印象になるのかもしれない。 何か他の媒体で補完しなければならない、単独では成立できない、そういうのは、本当に完成された作品とはいえないのだけどね。 |
■お知らせ■このブログの記事へのコメントについて。2008-02-23 Sat 17:04
FC2ブログでは先日のメールフォームに続き、記事へのコメント投稿に際しても画像式の認証システムを設定することができるようになったそうです。
当ブログではスパムコメント対策のために承認後表示の設定をしているのですが、それらの迷惑コメントをいちいち削除していくのにもいい加減疲れてきたので渡りに船、ということで早速導入させていただきます。 拙文の数々にコメントしてくださるというありがたいご来訪者の方にはお手数をおかけしますが、よろしくご協力をお願いいたしますね。 ■FC2ブログ管理者用お知らせ 「機能追加及び一部表記変更のお知らせ」 で、この画像式の認証システムを有効にするには当然管理画面にて設定の変更を行う必要があるんですが…これがちょっと一見わかりにくくてね。 FC2さんの「ブログ管理者用のお知らせ」の告知記事だけではどこをどう直したら良いのか一瞬わからなかったのですよ。あれ?どこ? みたいな。 そこでヒントを求めて告知記事にくっついているトラックバックをたどってみたら、画像入りでわかりやすく解説してくださっている記事がありましたので助かりました。 FC2ブログユーザーで同様に行き詰っている方、参考になりますのでご覧になってみてはいかがでしょう。 ■ご参考 David the smart ass「コメント画像認証機能の付加」 これで少しはブログ管理が楽になるといいのですがね。 あと、管理者用お知らせブログの同じ記事内に
というのがありましたが、これ、実は常々ちょっと紛らわしいな〜と思っていたんですよね。 「許可する」という表示がが、「拒否を解除して今後の投稿を許可する」ではなく、今現在このホストからの投稿を許可している状態である、と一瞬勘違いしてしまったので。 なので、これでスッキリ。 日本語って。ほんと、難しいですよね〜。 |
十七文字〜浮上するとき2008-02-04 Mon 12:54
愛猫の寄り添う熱に救われる 気まぐれで自噴勝手で素っ気無い。 それでいてちゃっかりしてておねだり上手。 そんな振り回し系の小悪魔ちゃんでも、猫って時々とてつもなくやさしかったりする。 いつもいつもありがとうね。 |
FFな日々。〜いよいよねッ…のハズが。2008-01-23 Wed 23:04
あれやこれやいろいろあってさ。
そこそこ小金が溜まってきたのね。 それでさ、いよいよ計画を実行しようとしたわけよ。 計画、って、例のアレよアレ。 「わくわくドキドキ☆ニンテンドーDSアーンドFF IVゲーット大作戦(ハート)」 ひゅーどんどんどんパフパフ。 いざ、とばかりにヨドバシ・ドットコムに急いでアクセス。 ハードは? …ヨシ、確保〜♪ ひゃっほーーーうぅ。←ここらあたりがヘンなテンションMAX。 ソフトは? …ヨ…あれ? 確保できない…。 「販売休止中」 「次回入荷未定のため、販売休止中です。」 画面の片隅にはには非情な文字が踊っていた…。 ハードのみあったとていったい何の役に立つのであろうか。 無論、何の役に立つでもない。 ここは涙を呑んでカートをクリアするしかないのであった…。 便利なんだけどねえ、ヨドバシ・ドットコム。 その分在庫切れが目覚しく早いのを失念していたわ。 新型PSPの時だって、夜にはもう売り切れてたしね。 ああこれはもうリアル店舗へ行って商品棚を片っ端から探しまくるしかないのか。 わざわざ出向く交通費より通販送料のほうが断然安い、そうよあたしはイナカ者。 ↑やっぱりヘンなテンション。 とりあえずハードのみ確保してソフトは追々、という手もあるにはある。んがしかし。 なんかちょっと気持ちが萎えてきたかも…。 【補記】2008/01/24 本人的にイマイチ納得がいかないので表現を一部訂正しました。 「商品棚をあさる」 → 「商品棚を片っ端から探しまくる」 テーマ:ファイナルファンタジー全般(11除く) - ジャンル:ゲーム |
鑑賞記録〜映画(DVD)2008-01-23 Wed 15:30
ローレライ
監督:樋口真嗣 主演:役所広司/妻夫木聡/香椎由宇 原作:福井晴敏「終戦のローレライ」(講談社) ・2008/01/21 ・DVD(レンタル) 詳細↓ 公式サイト 東宝邦画作品ラインナップ 太平洋戦争末期の日本。広島に続く原子爆弾投下を阻止するために出港した海軍の潜水艦「伊507」には最新鋭の索敵システム「ローレライ」が搭載されていた。 しかしその裏には世界を揺るがす陰謀が隠されていて…。 ああ、何て突拍子もない。 「ローレライ・システム」の真相が明らかになったあたりで、まず、そう思った。 こんなに突拍子もなくて、ほんとに大丈夫なのかこの映画? マジでそう思ってしまった。 しかしその不安は物語が進むうちに立ち消えてしまう。 脚本および俳優たちの演技にそれだけの説得力がある。ということだろうか。 いつの間にか作品の世界にどっぷりはまり込んでしまっていたのだよ。これが。 この時代、しかも太平洋戦争をテーマにしたものにありがちな戦争の悲劇性や「悲惨」「悲愴」をことさらに強調したものではなく、それらからほんの少しだけ引いた視点で描き出された物語の、その切り口のユニークさが興味深かった。 「魔女」はその後どうなったのか? とか、ラストで出てきた青年の腕にある時計の意味は?とか、余韻の残る終わり方もとても良かった。 そして、ヘイリーさんの素晴らしい歌声。 鑑賞時は特に誰の歌声か気にしておらず、ただ「ああ、いい声だな。イメージぴったり」などと思っていたのだが、見終わった後で公式サイトなどをチェックした際に初めて彼女の歌声だと知り、ああ、やっぱりなぁ、と、とても納得した。 太平洋戦争が終結して六十と余年。 こういった映画が普通に作られる時代になったんだなぁ、と、しみじみ思う。 いいことなのか、眉をひそめるべきことなのか、私にはなんともいえないが、この映画を観た者の心に何らかの気持ちが生じるのは間違いなく、それが世の中をいい方向に導くものであることを願ってやまない。 |




