いっぷく茶屋

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鑑賞記録〜映画(DVD)

「となり町戦争」

 監督:渡辺謙作
 出演:江口洋介/原田知世 他
 原作:三崎亜記「となり町戦争」集英社刊/第17回小説すばる新人賞受賞作品


詳細↓
角川映画HP「となり町戦争」


・2008/02/24
・DVD(レンタル)


 ある日かかってきた一本の電話をきっかけに「となり町同士の戦争」に主人公の男は巻き込まれていく。
 いつの間に始まったのか。何のためなのか。姿の見えない「戦争」は現実味が薄く、なかなか実感できない。
 しかし確かに「戦争」は行われており、戦死者は確実に増えていく。その現実を目の当たりにした主人公は衝撃を受け、そして愕然とする。
 

 どうも、いけない。
 すっきりしない。
 胸の奥底にわだかまったしこりのようなものがしつっこくつっかえて最後まで取れないのだ。
 不快感ではなく、嫌悪感でもなく、それは違和感に近いかもしれない。
 これは「戦争」の本質を地方自治体の姿形を借りて少しシニカルに、ブラックユーモア的に表現したものだろうか。
 あるいは、いまひとつ現実として認識しきれていない人の多いと思われる、世界中で未だなくならない「戦争」の現実とそれに対する日本の国としての関わり方の現状を、より身近な地方自治体のサイズにスケールダウンして揶揄している風刺劇なのだろうか。

 となり町同士で本気で戦争。
 比喩的表現ではなく、生命の危険を伴う実戦ありの、マジ戦争…どう考えてもあり得なさ過ぎる。
 あまり説得力があるとは思えないそのテーマや現実にはあり得ないような設定の数々、エピソード、台詞や演出の積み重ねが、まるで悪い夢を見ているようでどことなく居心地の悪さを感じさせる。
 そもそも、おそらく地方都市に隣接する立地という設定であろう「町」レベルで戦争していて、そこに暮らす人々がそのことにまったく気づかなかったり実感が湧かなかったり…そんなことが現実にあるのだろうか?
 「目に見えない戦争」を表現するためか、実際作中では戦闘シーンらしい戦闘シーンは全くなく、緑豊かでのどかな田舎町の日常が(まるでそれを強調するかのように)描かれている。
 その一方で「戦争」という「業務」のもとに主人公の周りでは様々な出来事が起こっていく。
 まず現実にはありそうもないことがごく普通に、平然と、当たり前のように進行している。
 …腑に落ちない。
 いや、それらすらも制作者側にとってはまた狙いのひとつで全ては計算のうちなのだろうか。
 しかしそれらの違和感をねじ伏せて思わず納得させられてしまうほどの「説得力」が感じられないのだ、この作品には。
 また随所に見られるシリアスなのかコメディなのかいまいち微妙なタッチの細かい演出などがなんとなく空回りしているように見えて不安感のようなものがあおられる。
 ブラックユーモア的なほんのり毒をはらんだシニカルな笑い?
 それなりに重いテーマを扱っているはずなのにこれはちょっと茶化しすぎではないか?と思ってしまう。
 これって、本当はもっと静かに、しかし背筋も凍えるほど怖い類のものなんじゃないのか?
 こういうテーマをこういった軽めのタッチで描いて欲しくはないなぁ、と、思ってしまうのだ。
 いや、その軽さすらも制作側の狙いで、作品の存在そのものが「警鐘」なのだろうか。
 現代の日本人の「戦争」に対する認識なんて、所詮はこんなもの、といったような。

 そして、主人公二人の間に芽生えていく感情の移り変わり。これがちょっと浮いていて物語の本筋とうまくかみ合っていないような気がするのだが、どうだろう。なんだか、テーマ的に派手な見せ場に乏しく地味で彩りの少ない内容を補うかのように隙間の部分を恋愛ドラマ的展開で埋めてうまくまとめてしまおう、的空気を感じてしまうのだ。
 「彼女」が「彼」の差し伸べた手をとることで「とりあえずある意味ハッピーエンド」と小さな希望の芽を残したことで強引に物語のオチをうまく摩り替えてしまったような印象を受けた。
 ああ、これで終わりなのかな?と思った矢先。
 ラストシーンのアドバルーンに吊られた「宣戦布告」の文字に暗澹たる思いに陥る。
 ああ、やっぱり「ここ」に戻ってくるのね。そりゃそうよね。これってそういう話だもんね。
 安心したようながっかりしたような、ちょっと複雑な気持ちになった。

 で、鑑賞終了15分経過時点での気分。…15分もフリーズしてたのかよ。
 どうもちぐはぐ感が否めない。
 消化しきれないものが胸の奥でぐるぐるしている。
 全体的に中途半端な感じだ。
 心の中にズバッと来ない…スッキリしない。

 最後の最後まで救いの見出せない、見ていてちょっとキツい作品だった。
 が、いずれまた違うコンディションの時にもう一度観て、確認してみたいことも多々あるので、そのときにはまた違った感想を抱くことになるのかもしれない。


 あるいは、原作を読んだ上で改めて観ると、また違った印象になるのかもしれない。
 何か他の媒体で補完しなければならない、単独では成立できない、そういうのは、本当に完成された作品とはいえないのだけどね。




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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

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